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そもそもチワワってどんな犬?
チワワは実は大変古い歴史を持つ犬です。神聖な生き物として扱われていた時代もあったようです。
メキシコ原産の犬で「世界最小」
世界で最も小さな犬種チワワは、メキシコ原産と考えられています。チワワという名前もアメリカに初めて輸出されたメキシコの地名「チワワ州」にちなんでつけられました。9世紀ごろのトルテカ族に飼われていた「テチチ」という犬が、チワワの原種といわれています。トルテカ族を滅ぼしたアステカ族の王国では、テチチは神聖な生き物として扱われていたようです。
チワワは他にはスペイン軍が1519年にアメリカ上陸した際に、チワワを持ち込んだとする説や、中国人が持ち込んだとする説もあります。チワワはアメリカで品種改良され、アメリカケネルクラブに登録されたのは1904年のことです。日本で飼育されるようになったのは1970年代のころです。飼いやすさやかわいらしさからだんだん人気が出てきて、今はジャパンケネルクラブの「犬種別犬籍登録頭数」でもここ数年は2位の座についている人気の犬種です。
最大の特徴はその小ささ
体重は3㎏以下で、個体によっては1㎏にも満たない子もいます。体高もわずか15~23cmと小さいため、マンションやアパートなど賃貸住宅でも飼いやすいという特徴があります。体重が軽いので、マンションのエレベーターなど公共の場でも抱っこしやすいことも魅力です。
チワワの性格について
チワワは小さく一見か弱そうな印象ですが、実はとても活発な子が多いのも特徴です。勇敢で縄張り意識も強く、自分よりも大きな犬に立ち向かうような一面もあります。
飼い主さんを深く愛してくれる一方、独立心が強く自己主張もするのでしつけは他の犬種同様、欠かすことができません。知らない人や犬に対する警戒心も強く、吠えることもあります。チワワが安心して暮らせるように、心がけてあげることも必要です。
チワワの種類とは
チワワは毛の長さ、毛色、そして体型からも種類を分けることができます。
スムースコート、ロングコートの2つ
毛の長さで分けると、「スムースコート」「とロングコート」の2種類です。どちらも「ダブルコート」といって、上毛と下毛が生える構造なので抜け毛は多めです。
スムースコート
スムースコートは「短毛」のことで、光沢のあるつややかな毛並みが特徴です。チワワの原産に近いのがスムースコートといわれています。毛が短い分つぶらな瞳が強調されて、チワワのかわいらしさが際立ちます。
毛が短いので寒さにも暑さにも弱く、冬は服を着させ、夏はエアコンを入れるなどのケアも必要になります。
ロングコート
ロングコートは絹のような繊細な長い被毛で、顔の周りには飾り毛が生えることが特徴です。しっぽもふさふさしています。スムースコートにポメラニアンなどを交配させて作られたといわれています。毛が絡まないよう、こまめなコーミングが欠かせません。
ロングコートもスムースコートと同じく寒さや暑さに弱いので、体温調節は気を付けてあげる必要があります。
毛色は6種類に分かれる
毛色を単色で分けると、ブラック・ホワイト・レッド・チョコ・フォーン・クリームの6種類になります。ちなみにチワワは子犬のころ濃い茶色だったのに、だんだんフォーンと呼ばれる金色がかった茶色になるなど、成長に従い毛の色がだんだん変わる場合があります。
ブラック
全身が黒色をしているチワワです。
ホワイト
真っ白ですが、目の周りや耳のあたりにはクリーム色の毛が生えることがあります。
レッド
レッドといっても真っ赤というわけではなく、赤茶色をしています。
チョコ
チョコレートのようなこげ茶をしています。
フォーン
子鹿のような金色がかった茶色をしています。
クリーム
クリームは薄い黄色で、白に少し黄色が入ったような色です。
チワワには単色のほかに、2色、3色と色が混ざっている毛色も多くいます。例えば「ブラック&タン」はメインカラーの黒に、タンと呼ばれる黄褐色のカラーが眉や口周りに入るタイプです。
体型はドワーフ、ハイオンの2つ
チワワは毛の長さやカラーだけでなく、体型からも大きく2種類に分けられます。
ドワーフ
足や首が短く、胴は長めでどちらかというとずんぐりとした、コロコロしたような印象です。
ハイオン
足が長めで、胴は短くどこか子鹿を思わせるスラっとした体型をしています。
他にも「スクエアタイプ」といって、ドワーフとハイオンの中間のような体型を入れて3種類とする場合もあります。
チワワがかかりやすい病気とは
チワワがかかりやすい病気をあらかじめ知っておくことで、日ごろから対策や注意をすることができます。
膝蓋骨脱臼
膝のお皿を「膝蓋骨」といいますが、このお皿がずれてしまう状態が「膝蓋骨脱臼」です。膝蓋骨脱臼には、内側にずれる「内方脱臼」と外側にずれる「外方脱臼」がありますが、チワワのような小型犬はどちらかというと内方脱臼が多くみられます。
軽度では飼い主さんも気づかない場合もありますが、悪化するとケンケンをするなど歩き方に変化が現れることがあります。動物病院を受診するとともに、チワワがフローリングで滑ったり、階段などで飛び降りたりしないように普段から注意する必要があります。
水頭症
頭蓋骨内部にある「脳室」と呼ばれるところには「脳脊椎液」という液体が入っています。この脳脊椎液が何らかの原因によって増えると、脳室が大きくなり脳を圧迫してしまいます。圧迫することで、さまざまな神経症状が現れることがあります。例えばふらつきやてんかん、斜視や視力障害、興奮しやすい、逆にぼんやりしているなどの症状です。
アップルドームと呼ばれるリンゴのような形をした頭のチワワは、先天的に水頭症を発症しやすい犬種です。普段から頭をたたいたり、ぶつけたりしないようにすることも大切です。神経症状がみられたときはもちろん、頭が妙に大きいと感じたときは早めに動物病院に連れて行きましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
中高年以降のチワワに起こりやすい心臓の病気です。心臓にある4つの部屋のうちの、2つの部屋「左心房」と「左心室」の間にある僧帽弁がだんだん変形していく病気です。弁が変形してしまうときちんと閉鎖できなくなるため、左心室から大動脈の方へ行くべき血液の一部が左心房に戻されてしまいます。空咳がでる、運動をいやがる、運動中に倒れるなどの症状がみられることがあります。
さらに重症になっていくと呼吸困難や肺水腫などをおこすこともあります。定期的に健康診断をうけるほか、咳が出る、散歩を嫌がるなど症状が出た場合は早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
体の小さなチワワは賃貸などでも飼いやすい犬種です。ただ寒さや暑さに弱かったり、かかりやすい病気があったりするので日頃のケアをしっかりすることがチワワと暮らす大切なポイントです。
また縄張り意識が強く、ちょっと強気の性格の子もいるのでしつけも欠かせません。しかし活発で明るく、飼い主さんに深い愛情を示してくれるチワワの存在感は大きいものです。一緒に暮らす日々は、チワワにとっても飼い主さんにとってもかけがえのないものになるでしょう。